そもそも売り方が違う
新商品販売が伸びない原因の一つが営業組織の違いです。OEM業務を長く続けてきた企業は、委託先企業への担当者と太いパイプを築き、見えないところに手が届く営業を展開してきました。一方で、ユーザーに商品を届ける術を持っていません。やってきていないので当然です。難しいのは、量を作って仕入れ価格を下げていく数字感覚から、価値を創造して利益を生み出していく考え方への切り替えです。ところがやり手の営業マンほど、商品への自信から売るのは簡単と考えるから不思議です。やってみると案の定、販売店や卸業者への営業、消費者に向けての広報は空回りしてしまいます。メーカーにはマーケティングや広報を専門に扱う部署がありますので、それぞれ営業のスペシャリストが宣伝や広告に使える予算の中から上手に使ってブランドを育てています。この人たちと同等に渡り合えと言われても、ビジネスチャンスはいつになっても回ってきません。
新しくブランドを起こす際に大事なことは、ブランドづくりをしながら同時に売り方もデザインしていくことです。
競合がたくさんいる市場で売れないなら、競合がいないところで売れば独り占めです。生産工場を持っていればなおさら、売れるところで売る商品を最初から作っていけば良いのです。商品を自分たちで作れるのは最大の強みですから。
ブランド力があれば別ですが、メーカーと同じ商品を作っても必ず失敗します。メーカーはOEM企業に生産を依頼する代わりにこの部分に多くの投資をしてきていますから、この人たちがいない戦場で違う商売を探すしかありません。